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『 食 育 』 の推進

      食物の大切さを伝える試み

        前回お伝えした食料自給率の問題に即し、「現実に起こりうる日本の食糧事情を子供たちが体験す
        る試み」が、新潟県のとある小学校で行なわれています。
        5年生の児童達が、自分で栽培・飼育した農作物や家畜のみに頼った食事をとるという、一泊二日
        の体験学習です。飢餓に苦しむ国と同じ摂取量で割り出された一食分は、日本における通常の食
        事量の10分の1から5分の1ほどにしかなりません。一食あたりのカロリーは、約113kcal(豚肉
        約10gとご飯や茹でたジャガイモなどを2〜3口分くらい)しかないことになります。食事に様々な工
        夫を凝らしてみても、翌朝には気分が悪くなり、保健室へ駆け込む児童がいるというのが現状です。
        「(飢餓に苦しんでいる国では)毎日がこのような生活をしていると考えたら、すごく驚きです」「お母
        さんが作ってくれた塩おにぎり、こんなにおいしかったっけ」「育てた野菜、世話をしたブタの味をか
        みしめて、2日間を過ごしました」・・・児童の文集には、様々な感想が並んでいます。おなかがペコ
        ペコの状態で自分達が育てた食材を用いた手作りの食事を食べるというこの試みの後、好き嫌いが
        なくなった子どもが多くいるそうです。
        「飽食の国、日本」において、食べ物の大切さを次世代に伝える働きが少しづつ広まってきていま
        す。

                                参照:読売新聞2006年9月16日「飢餓の国」小学生が体験
                               


       『 食育 』ってなんだろう? 〜朝食の欠食〜
 
        私たちが生きていくための基本として、「食」はなくてはならないものです。
        私たちの食生活は近年大きく変化してきました。そして、食を大切にする心や知識・環境・食文化
        が失われつつあります。
        そこで、健全な食生活を取り戻していくために、正しい知識や規則正しい生活を促し、栄養バランス
        を整えて豊かな人間性をはぐくむことを推進していくための法律、『食育基本法』が制定されました。
        食育基本法のなかでは、『食育』を「”知育・徳育・体育”の基礎となるもので、食に関する知識と選
        択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること」と位置づけています。
        この食育基本法が制定された背景には、食をめぐる様々な問題(下記@〜E参照)があります。


        @ 「食」を大切にする心の欠如
        A 栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加
        B 肥満や生活習慣病(癌、糖尿病など)の増加
        C 過度の痩身志向
        D 「食」の安全上の問題の発生
        E 「食」の海外への依存
        F 伝統ある食文化の喪失


         これらの社会全体の問題ととらえ、抜本的な対策として食育を国民運動レベルで強力に推進してい
         くために、この法律が制定されました。
         今回は、「食生活の変化と併せて問題になっている『朝食の欠食』について考えてみましょう。
         朝食の欠食率は平成11年以降増加しており、平成17年では、33.1%、女性23.5%という結果
         が出ています。さらに1人世帯の朝食の欠食率も20歳代が最も高く、男女合わせて49.4%、30
         歳代で41.1%となっています。また、子供達の欠食率も高く、15歳〜19歳に至っては、14.7%
         が朝食を抜いていることがわかりました。
         東京都のある小学校では、朝食を食べなかった児童が「気分が悪い」と授業を抜け出し、保健室に
         常備してある小さなスティックシュガーを水で飲んでから、再び教室へ戻るという光景が去年まで繰
         り替えされていました。砂糖水を飲むのは血糖値を上げるためで、多いときには1日に4〜5人が利
         用していたそうです。砂糖提供はあくまで急場しのぎの対策で、発案者の養護教諭は、「学校が懸
         命にやっても、結局、家庭を巻き込まなければ変わらないのです 」と語っています。この小学校で
         は対策として、PTAを通じて朝食の大切さを保護者に訴えたり、生活習慣をチェックするカードを家
         庭とやり取りした結果、体調不良を訴える児童がほとんどいなくなったそうです。
         朝食の役割として、「体温を回復して身体活動を活発にする」「糖質を補給し、脳の活動を活発にす
         る」「ホルモンや酵素の分泌を促す」などがあげられます。
         朝食に味噌汁やおかずを一品加えるなど、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
  
    
                                                    参照:食育の推進に向けて
                                                        読売新聞2006年   

      朝ごはんしっかり摂っていますか?

         目覚まし時計を止めて起き上がると、窓から差し込む暖かな日差し・・・良い一日が遅れそうな
         予感がします。でも、寝ている間に、体温が1℃下がっていることをご存知ですか?
         体温が上がらないまま学校や仕事へ行くと、「体がだるい」「集中できない」など・・・。
         朝ごはん、しっかり摂っていますか?
         朝食を抜くとエネルギーが行き届かず、体温と血糖値が上がりません。私たちの生命活動を保
         つために酵素を必要としていますが、この酵素が働くためには、「ミネラルの摂取」と「体の体温
         を上げること」が大切です。朝起きて、朝食を食べたり体を動かしたりすると、体内に熱が生じて
         体温が上がります。こうして体のエンジンがかかり始めると、脳の働きも活性化され、学校の授
         業や仕事に頭を使う準備ができるのです。
         ごはんやパンだけという朝ごはんも珍しくはありませんが、最近では朝ごはんを補う食べ物を給
         食前に出す学校も出てきています。また、朝食などの生活習慣と学力の相関関係を指摘する調
         査も数多くあります。
         朝食を食べる子と食べない子を実際に調査した結果平均して20ポイントばかりの差が現れており
         ます。 基本的な生活習慣がしっかり身についている子供ほどテストの成績が高い傾向が浮かび上
         がってまいりました。

朝食と学力
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【日経新聞10月25日より】

      食をめぐる問題

        私たち食生活は、ライフスタイルの多様化に伴い大きく変化してきました。
        例えば、パンや麺類を食べる割合が多くなり、全体の54%もの家庭の中で、一日に一回しかご
        飯を炊いていない、野菜の消費量が減った、などの変化があげられます。その他、不規則な食
        事、栄養の偏り、「食」に関する正しい知識を持たない人の増加などが見られ、その結果として、
        「食」を大切にする心や優れた食文化が失いつつあります。
        これらの問題を解決し、健全な食生活を取り戻していくために、今や国をあげての活動が始まっ
        ています。

      食育の提唱
    
         日本で最初に「食育」の重要性を提唱したのは、明治時代に陸軍の薬剤監を努めた石塚左玄氏
         でした。1898年に、著書『通俗食物養生法』の中で、「今日、学童を持つ人は、体育も智育も才能
         もすべて食育にあると認識すべき」と説き、食の栄養、安全性、選び方、組み合せ方の知識とそれ
         に基づく食生活が、心身ともに健全な人間をつくる教育、つまり『食育』の大切さを伝えています。
         さらに、報知新聞編集長でもあった村井弦斎氏が、1903年に連載していた人気小説「食道楽」で、
         「小児には徳育よりも、智育よりも、体育よりも、食育がさき。体育、徳育の根源も食育にある」と述
         べています。
         こうした偉大なる先人の教えを始めとし、食育の重要性が近年になり非常に注目され、2004年に
         国会議員が議員立法により食育基本法案を提案、2005年6月に通常国会で成立、7月に施行さ
         れました。




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